離婚して、子どもと私でアパートをを借りて暮らし始めた頃のこと。
金銭面に不安があったため、児童扶養手当を受け取ることができるかを聞きに行った市役所で紹介されたのが「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」でした。
名前だけ聞くと少し難しそうですが、簡単に言えば「ひとり親家庭が安心して住まいを確保できるよう、家賃などを一時的に支援してくれる制度」です。
当時の私は、制度の存在自体を知らず、手続きも煩雑そうな気がして不安でした。
しかし実際に申請してみると、書類の準備から面談、審査、そして入金までの流れが想像していたよりずっとスムーズで、同じように悩むひとり親家庭の方にとても役立つ制度だと感じました。
この記事では、私が実際に申請した際の具体的な流れ・期間・注意点を、リアルな体験を交えて詳しく紹介します。
住宅支援資金貸付とは? 制度の概要
「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」は、離婚や別居などで新たに住まいを確保する必要があるひとり親家庭を対象に、家賃を無利子で貸し付けてくれる制度です。
この制度は、国と各自治体などが実施しています。
利用の目的は「生活を安定させるための一時的な支援」であり、返済が必要ではありますが、利息がつかない・返済猶予が設けられるという点が大きな特徴です。
また、条件付きではありますが、「返還の免除」つまり返さなくてもよい場合があります。
重要なのでもう一度。
条件付きではありますが、「返還の免除」つまり返さなくてもよい場合があります!!
貸付の対象や条件は自治体によって多少異なるようですが、私が利用した際には以下のような内容でした。
- 対象:児童手当を受給している者
- 用途:家賃費用
- 上限額:最大で7万円/月を1年間
- 利息:無利子
- 返済:原則6年以内に分割で返済(収入状況により延長可)
なので、児童扶養手当を受給し、賃貸の家に住んでいる場合は対象になる場合がほとんどです。
実際に申請してみた流れ(準備〜書類提出)
市役所で制度を紹介され、申請することを決めると、窓口の方が流れを説明してくれました。
申請の流れ
①申請書を記入し、裏面の必要箇所を「県母子寡婦福祉連合会事務所」で記入してもらう。
②書類を揃えたら1回目の面談を行う。(市役所とハローワーク)
③2回目の面談を行う(市役所とハローワーク)
④市役所で記入してもらった書類を県母子寡婦福祉連合会事務所へ提出する。
⑤申請が通れば、書類を揃えて提出する。
⑥貸付開始。
という流れになります。
私は制度の説明があったその足で、地域の県母子寡婦福祉連合会事務局に向かいました。
窓口ではとても丁寧に対応してもらえ、必要な書類や面談の日程を案内してくれました。
必要な書類
申請までに準備した主な書類は、以下のとおりです。
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 児童扶養手当証書(または申請中であることを示す書類)
- 賃貸契約書(または契約予定の物件情報)
- 所得証明書
- 印鑑
私の場合、所得証明書の取得などに時間がかかったため、準備に2週間ほどかかりました。
実際に行ったこと
上記の書類をそろえた上で、まずは市役所の担当者と予定を組んで面談を受けます。
面談では、なぜ貸付を希望しているのか、今の生活状況や環境、返済の見通しなどを穏やかな雰囲気で確認されました。
「面談」というよりは、「相談に乗ってもらう」という感覚に近かったです。
担当の方はとても親身になってくれ、「大変だったね」「まずは安定した生活を優先しましょう」といった温かい言葉をかけてくださり、緊張が一気にほぐれました。
ハローワークとも連携しており、すぐに希望に合った職種を斡旋してくれました。
私の場合は最終的に小学校の非常勤講師として就職したため、ハローワークで見つけてもらった仕事はしなかったのですが、最後まで丁寧に対応してもらえました。
1回目の面談から2週間ほどして、就活状態のチェックなども含めて2回目の面談がありました。
そこでも、同じ担当者が継続して対応してくれました。
2回の面談が終了し、書類を提出した後に審査が行われ、私の場合はおよそ2週間ほどで結果が届きました。
無事に貸付が決定し、次のステップとして入金の手続きへ進むことになります。
貸付決定から入金までの流れ
貸付の決定通知が届いたのは、面談からおよそ2週間後のことでした。
封筒を開けると「貸付決定通知書」と「契約書」が同封されており、実際の入金までに行う手続きが丁寧に説明されていました。
まずは、決定内容を確認してから契約書に署名・押印、また、収入印紙を貼る欄があるため、コンビニで購入して貼り付けました。
その際、振込先の銀行口座を記入する欄もあり、そこに指定した口座へ入金される流れです。
私の場合、書類を返送してから約1週間ほどで入金されました。
申し込みから入金までを振り返ると、全体で2か月程度。
想像していたよりもスムーズで、「本当に助かった」というのが正直な気持ちでした。
入金額は自治体や家賃によって異なりますが、私のケースでは家賃が(駐車場抜き、管理費込み)6万円ほど。(上限は月7万円)
3か月分がまとめて指定口座に振り込まれる形です。
借りられるのは12カ月分なので、6万円×12カ月=72万円になります。
そして就職後、1年間継続して働くことができたら返済免除です。
これは、何としても継続して働こうという意欲につながります。
制度の名前だけ聞くと堅苦しく感じますが、実際は利用者に寄り添ったサポートが受けられる印象でした。
申請して感じたメリット・デメリット
実際に「ひとり親家庭住宅支援資金貸付」を利用してみて、思っていた以上に助かる制度だと感じました。
ただし、利用してみて初めて分かった注意点もあります。
ここでは、経験者として感じたメリットとデメリットをまとめます。
メリット
負担の軽減
離婚したてで収入が不安定な時期に、家賃が用意できるという環境が精神的にもありがたかったです。
元からこの制度を頼りにしていたわけではなかったので、浮いた分を貯金に回すこともでき、安心して新生活を始められました。
返済免除の制度
条件付きではありますが、返済しなくても良いという支援なのは、経済的にも心理的にも助かりました。
継続して仕事を頑張ろうという意欲にもつながりました。
無利子で借りられる安心感
万が一仕事を続けられなかった場合にも、利息が一切つかないため、心理的な負担が少なく、「返さなきゃ」と焦る気持ちが和らぎます。
担当者が親身にサポートしてくれる
書類の書き方や面談の進め方など、分からないことを丁寧に説明してもらえたのが印象的でした。
制度というより「支援」に近い温かさを感じました。
デメリット(注意点)
書類がやや多く、準備に時間がかかる
役所での書類取得や印鑑、賃貸契約書のコピーなど、少し手間はかかります。
ただ、ひとつずつ進めれば難しくはありません。
貸付までに数週間かかる
私の場合は制度を知ってから約2か月で入金されましたが、急ぎの支払いがある場合は少し間に合わない可能性もあります。
余裕をもって早めに申請するのがおすすめです。
「貸付」なので返済が必要
返済免除の可能性があるとはいえ、助成金や補助金とは違い、本来なら返さなければならないお金です。
ただし、免除になる可能性が高いこと、無利子であること、返済相談ができることを考えると、十分利用する価値はあると思います。
実際に利用してみて感じたのは、「制度の存在を知っているかどうか」で生活の安心感がまったく違うということ。
少しの勇気を出して相談してみたことで、心の余裕が生まれました。
まとめ:制度をうまく活用して、安心できる暮らしを
離婚直後は、家探しや引っ越し、子どもの生活の準備など、思っている以上にお金がかかります。
そんなときに「ひとり親家庭住宅支援資金貸付制度」を知り、実際に利用できたことは、私にとって本当に心強い支えでした。
正直、最初は「貸付」と聞いて少し構えていました。
でも、手続きが進むにつれて「ちゃんと支えてくれる制度なんだ」と感じ、経済的にも気持ち的にもずいぶん楽になったのを覚えています。
ひとり親としての生活は決して簡単ではありません。
けれど、こうした公的な支援をうまく活用することで、「どうにかなるかもしれない」という小さな希望を持てるようになります。
もし今、住まいのことで不安を感じている方がいたら、
ぜひ一度、お住まいの市区町村などにぜひ相談してみてください。
制度の内容は地域によって少し違いますが、力になってくれるはずです。
あとがき
申請は勇気がいる一歩ですが、その一歩が暮らしを守る大きな支えになります。
この体験記が、同じように悩むひとり親家庭の方の背中を少しでも押せたら嬉しいです。





