「非常勤講師って、どのくらいの収入になるんだろう?」
教える仕事に興味はあっても、実際の給料や生活が成り立つのか気になる人は多いと思います。
私自身、非常勤講師として働き始める前は、“授業1コマあたりの単価”だけを見て、「思ったより悪くないかも」と感じていました。
しかし、実際に働いてみると――授業以外の準備時間や移動、長期休暇中の無給期間など、数字だけでは見えない現実がたくさんありました。
この記事では、非常勤講師として実際に働いた経験をもとに、年収・月収の目安から、収入の安定性・生活のリアルまで、詳しくお伝えします。
これから非常勤講師を目指す方、副業・掛け持ちを考えている方の参考になれば幸いです。
非常勤講師の収入相場は?平均年収・月収の目安
非常勤講師の収入は、勤務する学校の種類や担当コマ数によって大きく異なります。
一般的には「1コマあたりの報酬×担当コマ数×勤務日数」で決まる仕組みです。
1コマあたりの単価と勤務日数で変わる収入
多くの教育機関では、非常勤講師の報酬は「1コマ(45〜90分)あたり2,000〜6,000円前後」が目安です。
大学の場合は比較的高めで、1コマ5,000円前後が平均。
一方で、小中高校や専門学校では1コマ2,500〜3,500円程度とやや低めです。
たとえば、1コマ3,000円・週10コマを担当する場合、
1か月あたりの授業回数が約4週とすると──
3,000円×10コマ×4週=約12万円になります。
週3〜4日勤務の非常勤講師であれば、月収10〜20万円前後がひとつの目安です。
年収の実態と生活の目安
非常勤講師は「学期ごと・年度ごと契約」のため、長期休暇中は給与が発生しないことが多い点に注意が必要です。
夏休みや春休みを含めて計算すると、年間を通した年収は150〜250万円程度に落ち着くケースが一般的です。
私の経験的にも月によって収入の差が大きく、普段は20万円を超えても、休暇中はほぼゼロという月もありました。
そのため、生活費を安定させるには、掛け持ちや副業で補う人が多いのが実情です。
学校種別での違い
- 大学:1コマ5,000〜7,000円、週数コマ担当なら月収10〜25万円程度
- 小中高校・専門学校:1コマ2,500〜4,000円、月収10~20万円程度
- 塾・予備校など:出来高制や時給制が多く、成績評価や担当科目で差が出やすい
まとめ:数字だけでなく「授業外の時間」も収入に影響
非常勤講師の収入は「コマ単価」だけでは判断できません。
授業準備・採点・報告書作成など、授業外の時間も含めると実質の時給は低くなりやすいのが現実です。
それでも、学生と直接関わり、教えることを通して自分も成長できる点は、非常勤講師ならではの魅力です。
経験者が感じた“収入の現実”と生活の工夫
非常勤講師として働いてみると、数字だけでは見えない“収入の現実”がいくつもあります。
授業の単価は悪くないように見えても、授業外の時間や不安定なスケジュールによって、実際の手取りは想像以上に変動します。
授業以外の仕事が意外と多い
非常勤講師の仕事は「教える」だけではありません。
授業準備・教材作成・テストの採点・成績入力・授業報告――これらの作業は基本的に無給です。
特に初めて担当する科目では、授業1コマのために2〜3時間の準備が必要なこともあります。
私の場合、授業時間よりも準備や添削にかける時間のほうが長い週もありました。
そのため、単純に「1コマ3,000円」とは言えず、実働ベースで見ると時給1,000円ほどになることもありました。
休講期間の“収入ゼロ”をどう乗り切るか
非常勤講師の大きな課題が、長期休暇中に収入が途切れることです。
特に大学では、夏と春にそれぞれ1〜2か月の休講期間があります。
この期間は授業がない=報酬も発生しないため、事前に生活費を確保しておく必要があります。
多くの非常勤講師は、休講期に短期バイトや原稿執筆、教育関連の副業などを組み合わせています。
中には、複数の学校を掛け持ちしてスケジュールを埋める方も珍しくありません。
「収入を安定させる=仕事を分散させる」のが、この働き方の基本と言えます。
掛け持ち・副業で安定させる人が多い
私自身も、非常勤講師の仕事だけでは生活が安定せず、週に数日は別の仕事を入れていました。
教育関連のライティングやオンライン講師など、同じスキルを活かせる副業は特に相性が良いです。
最近ではオンライン授業の需要も増え、在宅で教える仕事も増加しています。
非常勤講師として得た「教える力」を別の形で活かすことで、時間にも収入にもゆとりを作ることができます。
経験者の実感:安定はないが、“学びの深さ”はある
非常勤講師の収入は決して安定していません。
けれども、学生との関わりを通じて学びや発見が多く、金額以上の充実感が得られるのも事実です。
「生活の基盤を別に持ちつつ、教育の現場に関わりたい」という人には、非常勤講師という働き方は現実的な選択だと思います。
非常勤講師の収入は“安定”よりも“経験重視”
非常勤講師として働いてみて感じたのは、この仕事は「安定収入」を得るための職ではなく、「経験」を積むための仕事だということです。
給与は決して高くありません。
ボーナスや社会保険がつかないことも多く、生活を完全に支えるには難しさがあります。
ですが、授業を通して学生の成長を間近で感じたり、自分の専門分野を深めたりできる点は、ほかの仕事にはない魅力です。
教えることで、自分も学び続けられる
非常勤講師の仕事は、常に“学び”と隣り合わせです。
授業内容を考えたり、学生の質問に答えたりする中で、自分自身の知識も磨かれていきます。
「教えることを通して、自分も成長できる」ことがこの仕事の醍醐味です。
私も、授業準備のために改めて本を読み直したり、新しい教育法を試したりすることで、スキルアップを感じています。
収入面では不安な面もありますが、経験が積み重なり、糧となっています。
これから非常勤講師を目指す人へ
もし「教えることが好き」「教育の現場で働きたい」と思っているなら、非常勤講師という選択には価値があると思います。
ただし、生活の安定は別の手段で確保する意識を持っておくと現実的です。
掛け持ちや副業をしながら、自分の専門を深めていくというのも、今の時代の賢い働き方かもしれません。
まとめ
非常勤講師の収入は、数字だけ見れば決して多くはありません。
しかし、「教える」という経験が自分の成長につながる点では、金額以上の価値があります。
教育に関わりながら、自分の専門を活かしたい人にとって、非常勤講師は“ステップアップの場”になるでしょう。






