学校では1人1台の端末を使うようになり、プログラミングに触れる機会も増えています。
でも、家庭で始めようとすると、
「何をさせればいいの?」
「Scratchって聞くけど、どんなもの?難しくない?」
「プログラミング教室に通わせた方がいい?」
と迷ってしまいますよね。
結論から言うと、小学生のプログラミング学習は、最初から教室に通ったり、高価な教材を買ったりする必要がないことがほとんどです。
まずは無料サイトで実際に触ってみて、子どもが楽しめるか確認するところから始めるので十分。
この記事では、元小学校教員の私が、学校現場で子どもたちがプログラミングに取り組む様子を見てきた経験をもとに、家庭での始め方を紹介します。
小学校のプログラミング教育は「プログラマーになるため」ではない
まず知っておきたいのが、小学校のプログラミング教育の目的です。
「プログラミング」と聞くと、英語や数字を使ってコードを書くイメージがあります。
しかし、小学校のプログラミング教育は、そのイメージとは少し違っているかもしれません。
小学校で行う「プログラミング」はプログラマーを育てることが目的ではありません。
文部科学省では、プログラミング教育を通して、プログラミング的思考を育むことなどを重視しています。
学校現場でのプログラミング教育では、コンピューターを思い通りに動かすために、必要な動きを分解したり、順序を考えたり、試行錯誤したりする経験が大切になります。
例えば、
「この動きをさせるには、どの順番で命令すればいい?」
「思った通りに動かなかったのは、どこが間違っている?」
「もっと簡単な方法はないかな?」
と考えながら試行錯誤することも、プログラミング学習の大切な部分です。
そのため、家庭で始める場合も、最初から難しいコードを覚える必要はありません。
何年生からプログラミングを始めればいい?
結論から言うと、「○年生からでなければいけない」という決まりはありません。
年齢や子どもの興味に合わせて始めることができます。
年長~小学1・2年生なら「まず触ってみる」
低学年では、文字をたくさん入力するタイプよりも、直感的に操作できるものがおすすめです。
例えば、絵を使ってプログラムを作る「Viscuit(ビスケット)」は、英語や数字を使わずにプログラミングを体験できます。
公式サイトでも幼児や小学生向けの利用が案内されています。
この時期は、「プログラミングを勉強させなければ」と考えすぎなくても大丈夫。
まずは、「コンピューターに命令すると、こんなふうに動くんだ!」という体験をしてみることから始めてみましょう。
学3・4年生ごろからはScratchにも挑戦
少しずつ「自分で作る」ことができるようになってきたら、Scratchがおすすめです。
Scratchでは、ブロックを組み合わせて、
- ゲーム
- アニメーション
- クイズ
- 音楽
- お話
などを作ることができます。
学校でも使われることがあるため、小学生のプログラミング学習の入り口として取り組みやすい教材です。
ただし、Scratchは自由度が高い分、最初に何を作ればいいのか分からなくなりやすいという面もあります。
「自由に作ってみて」と言われるより、最初はチュートリアルなどを使って簡単な作品を一つ完成させる方が取り組みやすいでしょう。
小学5・6年生なら「作りたいもの」から始める
高学年になると、ある程度パソコン操作に慣れている子も増えてきます。
この時期は、「ゲームを作りたい」「自分でアニメーションを作りたい」「マインクラフトみたいなものを作りたい」など、子ども自身の興味を出発点にするのがおすすめです。
「何を勉強させるか」より、「何を作ってみたいか」を大切にしてみましょう。
学校で見てきた「プログラミングが得意になる子」
学校で子どもたちを見ていると、最初からプログラミングが得意な子ばかりではありません。
学級ではパソコンを触る機会があまりなかったり、興味が薄かったりして、プログラミングに初めて触れるという子も多数いました。
しかし、「とりあえずやってみる」「失敗してももう一度試す」「友達の作品を見て真似してみる」という子は、どんどんできることを増やしていく印象がありました。
プログラミングでは、最初から正解を知っていることよりも、「試してみる」ことが大切です。
家庭で始めるなら、この順番がおすすめ
初めてプログラミングに触れるなら、私は次のような順番がおすすめです。
STEP1 まずは無料サイトで遊んでみる
いきなりプログラミング教室に申し込む必要はありません。
まずは無料で使えるサイトを実際に触ってみましょう。
「楽しい!」
と思えるかどうかを確認するだけでも十分です。
STEP2 簡単な課題をクリアする
次に、「キャラクターを右に動かす」「ゴールまで動かす」「音を鳴らす」など、目的が決まっている課題に取り組みます。
ここでは、順番を考えて命令することを経験できます。
STEP3 自分で作品を作ってみる
課題に慣れてきたら、自分で何かを作ってみます。
最初は簡単なもので十分です。
例えば、「ネコが10回ジャンプするゲーム」くらいでも構いません。
「もっと速くしたい」
「敵を出したい」
「点数をつけたい」
と子ども自身が考え始めれば、そこから学習が広がっていきます。
最初に選ぶなら「問題を解くタイプ」がおすすめ
家庭でプログラミングを始める場合、その子の年齢や発達段階によっても異なりますが、最初はチュートリアルがしっかりとしているものがおすすめです。
最初はどのような指示を出せば思い通りに動くのか、戸惑ってしまうことが多いからです。
プログラミングに抵抗がなくなり「楽しい!」と思えるようになることがまず第一歩です。
慣れてきたら「ゲームを作るタイプ」がおすすめ
個人的には、問題を解くだけの教材よりも、自分で何かを作れる教材がおすすめです。
理由は単純で、子ども自身が「やってみたい」と思いやすいからです。
例えば、
「ゲームを作る」
↓
「キャラクターを動かす」
↓
「どうしたら動く?」
↓
「この命令を入れてみよう」
↓
「動いた!」
という流れがあります。
この「試して、失敗して、直す」という経験そのものが、プログラミング学習の面白さです。
無料で始められるプログラミングサイト
家庭で始めるなら、まずは無料サイトを利用する方法もあります。
実際に私が使ってみて、小学生におすすめだと感じたサイトをこちらの記事で詳しく紹介しています。

低学年でも使いやすいものから、本格的に作品を作れるものまで紹介しています。
「どのサイトを選べばいいか分からない」という場合は、こちらから試してみてください。
プログラミング教室に通った方がいい?
これは子どもによります。
プログラミング教室を検討してもいいケース
- 家庭では子どもが一人で進められない
- 自分で作品を作ることにハマった
- もっと難しいことをやりたがっている
- 親が教えるのが難しくなってきた
まだ教室に通わなくてもいいケース
- まだ一度もプログラミングに触れていない
- 子どもが興味を持っているか分からない
- 無料サイトでも十分楽しんでいる
家庭で無料サイトを使ってみて、「もっとやりたい!」「自分で作るのが楽しい!」となったのであれば、プログラミング教室を検討してもよいでしょう。
反対に、まだ興味があるか分からない段階なら、最初から高額な教室に申し込む必要はありません。
まず無料サイトを試してみて、子どもの反応を見る方法でも十分です。
そこで物足りなくなった場合にはオンライン教室などにお試し入会してみるのもおすすめです。
パソコンは必要?
最初から高性能なパソコンを用意する必要はありません。
教材によってはタブレットでも利用できます。
ただし、作品を作ったり、細かい操作をしたりするようになると、マウスやキーボードが使えるパソコンの方が操作しやすい場合があります。
特に高学年になって本格的にプログラミングをするのであれば、パソコン環境があると便利です。
親はプログラミングを教えられなくても大丈夫?
大丈夫です。
保護者自身がプログラミング経験者である必要はありません。
むしろ、分からないところを一緒に考えるくらいでも十分です。
「どうしたら動くと思う?」
「この命令を変えたらどうなるかな?」
と声をかけて、子ども自身に試してもらいましょう。
私も初めて実際にプログラミング教材にさわったときは、「難しいかも」と感じました。
学級で子どもたちが苦手意識をもたずに取り組めるか不安な面もありましたが、順を追って行うことで学級全体として楽しんで学習できていました。
すぐに答えを教えるのではなく、試行錯誤する時間を残してあげることが大切です。
家庭でプログラミングをするときの注意点
「勉強させる」ことを目的にしすぎない
プログラミングは、問題集のように「今日は○ページ終わらせる」と考える必要はありません。
最初は遊びで十分です。
「楽しいから触っている」というところから始めて、少しずつ「もっとこうしたい」と考えるようになれば、それが学びにつながります。
すぐに答えを教えない
プログラムが動かないと、親としてはすぐに直してあげたくなります。
しかし、「なぜ動かないんだろう?」と考えることこそ大切な学習です。
「どこまで思った通りに動いている?」
「この命令を一つ外したらどうなる?」
など、一緒に原因を探してみましょう。
長時間やらせすぎない
プログラミングに夢中になる子もいますが、長時間のパソコン利用が続かないよう、家庭でルールを決めておくと安心です。
「30分だけ」
「1作品作ったら終わり」
など、子どもに合った区切りを作って、約束を守って取り組めるようにしましょう。
こんな子はプログラミングに向いている?
プログラミングは、算数が得意な子だけのものではありません。
ゲームが好きな子は、実はプログラミングとの相性が良い場合があります。
「ゲームを遊ぶ側」から「ゲームを作る側」へ興味が広がることがあるからです。
- ゲームが好き
- 工作が好き
- 絵を描くのが好き
- 「どうして?」とよく考える
- 失敗しても何度も試す
- 自分で何かを作るのが好き
このような子は、プログラミングを楽しめる可能性があります。
もちろん、最初は興味がなくても問題ありません。
実際に触ってみて「面白い」と感じるかどうかを確かめるのが一番です。
まとめ|まずは無料で触ってみよう
小学生のプログラミング学習は、最初から難しいコードを覚える必要はありません。
まずは無料サイトなどを使って、「コンピューターに命令すると、どう動くんだろう?」という体験をしてみるところから始めてみましょう。
低学年なら直感的に操作できる教材、中学年以降ならScratchなど、自分で作品を作れる教材へ進むのがおすすめです。
そして、子どもが「もっとやりたい」と感じるようになったら、プログラミング教室など次のステップを検討してもよいでしょう。
まずはお金をかけず、家庭で一度触ってみる。
それだけでも、プログラミング学習の第一歩になります。


