「宿題を始めても、すぐにふらふら立ち上がる」
「机に向かったと思ったら、消しゴムで遊んでいる」
「10分もしないうちに『疲れた』『もうやだ』と言う」
小学生の子どもがいると、こんな場面に困ることがありますよね。
一方で、ゲームや動画なら長時間集中している姿を見ると、「どうして勉強だけできないの?」と悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。
私自身、小学校教員として子どもたちを見てきましたが、「勉強に集中できない=やる気がない」とは限らないと感じることが何度もありました。
課題が難しすぎたり、疲れていたり、何をすればいいのか分からなかったり。
一見すると「集中していない」ように見えても、その理由は子どもによってさまざまです。
この記事では、元小学校教員として教室で子どもたちを見てきた経験から、
- 小学生が家で勉強に集中できない原因
- 集中しやすくするための7つの工夫
- 親がやってしまいがちなNG対応
- 「集中できない」ときに確認したいこと
について紹介します。
- 小学生が家で勉強に集中できないのはなぜ?
- 原因①勉強の内容が難しすぎる
- 原因②簡単すぎて退屈している
- 原因③学校や習い事で疲れている
- 原因④周りに気になるものが多い
- 原因⑤何をすればいいのか分からない
- 原因⑥姿勢を保つことが負担になっている
- 原因⑦「勉強しなさい」と言われすぎている
- ①最初から長時間勉強させない
- ②やることを具体的にする
- ③簡単な問題から始める
- ④勉強する場所を整える
- ⑤タイマーを使う
- ⑥途中で休憩を入れる
- ⑦親が細かく口を出しすぎない
- 元小学校教員が教室で感じた「集中できる子」の特徴
- 「集中できない=やる気がない」と決めつけない
- それでも勉強に集中できないときは?
- 小学生の勉強に関するよくある質問
- まとめ|集中できない原因を一つずつ探してみよう
小学生が家で勉強に集中できないのはなぜ?
まず知っておきたいのは、集中できない原因は一つではないということです。
例えば、
- 勉強が難しくて分からない
- 逆に簡単すぎて退屈
- 学校生活や習い事で疲れている
- 周りに気になるものが多い
- 何をすればいいのか分からない
- 姿勢を保つことが負担になっている
- 「勉強しなさい」と言われることで嫌になっている
など、さまざまな可能性があります。
「集中力がない」と決めつける前に、まずは何が原因で集中できていないのかを考えてみることが大切です。
原因①勉強の内容が難しすぎる
学校の宿題や家庭学習をしているとき、すぐに手が止まってしまう子がいます。
このとき、「やる気がないの?」と感じてしまうかもしれません。
しかし、実は問題が分からなくて手が止まっていることもあります。
学校でも、課題が簡単なときはスムーズに進むのに、急に難しい問題になると鉛筆が止まってしまう子はいました。
分からない状態が続くと、「やりたくない」「もういい」となってしまうのは、ある意味自然なことです。
家庭学習では、子どもがどこでつまずいているのかを一度確認してみましょう。
原因②簡単すぎて退屈している
反対に、勉強が簡単すぎることで集中できない場合もあります。
すでに理解している内容を何度も繰り返していると、子どもにとっては「勉強」というより作業になってしまいます。
特に学校でしっかり理解できている子の場合、家庭学習の内容が簡単すぎないか確認してみてもよいでしょう。
「集中できない=学習が苦手」とは限りません。
原因③学校や習い事で疲れている
小学生は大人が思っている以上に疲れています。
朝から学校へ行き、授業を受け、休み時間に友達と遊び、体育で体を動かし、さらに習い事へ行く。
その後に帰宅して宿題となれば、集中できない日があっても不思議ではありません。
特に低学年では、学校生活そのものに慣れるだけでもかなりのエネルギーを使います。
「帰ってきたらすぐ宿題」という方法が合わない子もいるでしょう。
原因④周りに気になるものが多い
家庭は学校と違い、誘惑がたくさんあります。
テレビ、ゲーム、スマートフォン、おもちゃ、漫画など、子どもが気になるものがすぐ近くにあります。
もちろん、これらをすべて禁止する必要はありません。
ただ、勉強するときだけは目に入らない場所に片付けるなど、環境を整えるだけでも取り組みやすくなります。
原因⑤何をすればいいのか分からない
「勉強しなさい」と言われても、子どもからすると、「何を?」となってしまうことがあります。
結果、何もせずにふらふらしているということに。
特に家庭学習を自分で進めることに慣れていない低学年では、「算数をやろう」という声かけでも少し曖昧です。
「算数のプリントを1枚やろう」
「漢字を5個練習しよう」
など、最初にやることを具体的にすると、スタートしやすくなります。
原因⑥姿勢を保つことが負担になっている
勉強中に、
- すぐ机に伏せる
- 椅子からずり落ちる
- 足をブラブラさせる
- 何度も座り直す
という様子が見られる場合があります。
これを「集中していない」と考えてしまうこともありますが、姿勢を保つことそのものが負担になっている可能性もあります。
もちろん、姿勢が悪い原因がすべて体幹にあるわけではありませんし、姿勢だけを見て「集中力がない」と判断しないことも大切です。
しかし私自身、学校現場で子どもたちを見ていて、姿勢の崩れと学習への取り組みやすさが関係しているように感じる場面がありました。
姿勢が保てない場合には、体幹の他にも机や椅子の高さ、疲れ、視力、発達特性など、さまざまな要因が考えられます。
姿勢について詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

原因⑦「勉強しなさい」と言われすぎている
これは親にとっても難しいところです。
宿題をしない子を見ると、「宿題やった?」「早くやりなさい」「いつまで遊んでるの?」と何度も声をかけたくなります。
私も子どもを育てる立場になって、自分の子どもにかなり言ってしまっています。
しかし、声をかけられるたびに「勉強しなくてはいけない」と感じるようになると、勉強そのものに苦手意識を持ってしまうこともあります。
必要な声かけはしつつも、できるだけ「何をすればいいのか」を具体的に伝えるようにしてみましょう。
小学生が家で勉強に集中するための7つの対策
原因が分かったら、次は家庭でできる工夫です。
すべてを一度に変える必要はありません。
まずはできそうなものを一つ試してみてください。
①最初から長時間勉強させない
「今日は1時間勉強しよう」と最初から長い時間を設定すると、子どもによってはそれだけで嫌になってしまいます。
まずは、「10分だけやってみよう」で十分です。
10分集中できたら一度休憩し、また取り組む。
このように区切ってみると、始めるハードルが下がります。
大切なのは、最初から長時間集中させることではありません。
「勉強を始められた」という経験を積むことです。
学校では、ずっと同じ学習を続けるのではなく、書く時間と発言する時間を分けたり、隣の人と相談したり、作業を入れたりしながら、飽きずに学習できるように授業を組み立てています。
家庭でも、短時間の集中から始めてみましょう。
ちなみに、小学生の集中できる時間には個人差があります。
「学年×○分」のように一律に決めるより、時間については実際お子さんの様子を見てどのくらいならできそうかを考える方が、無理なく取り組めます。
②やることを具体的にする
「勉強しなさい」ではなく、
「算数のプリントを1枚やろう」
「漢字を5個書こう」
「音読を1回しよう」
など、やることを具体的にしてみましょう。
子どもが自分で見て分かるように、付箋やホワイトボードなどに書いておくのもおすすめです。
何をする時間なのかがはっきりすると、取り掛かりが早くなったり、最後まで頑張れたりする子も多いです。
③簡単な問題から始める
最初から難しい問題を出すのではなく、比較的簡単にできるものから始める方法もあります。
「できた!」という感覚があると、その後の学習にも入りやすくなります。
特に勉強が苦手な子の場合は、最初の一問を簡単にするだけでも違うことがあります。
④勉強する場所を整える
勉強するときは、机の上に必要なものだけを置いてみましょう。
鉛筆、消しゴム、教科書、ノート。
これだけで十分です。
ゲームや漫画など、気になるものは視界に入らない場所へ移動させます。
「集中力を鍛える」のではなく、集中しやすい環境を先に作るという考え方です。
教室でも、必要ないものはしまう、教室の前面には掲示を少なめにする、などの工夫をしています。
少し話はそれますが、学校で使う文房具にキャラ物が推奨されないのは、授業に集中できるようにという配慮からです。
⑤タイマーを使う
「10分だけ集中する」など、時間を決めて集中する方法もおすすめです。
キッチンタイマーなどを使って、「タイマーが鳴るまでやってみよう」と区切ります。
「いつ終わるか分からない」という状態よりも、終わりが見えている方が取り組みやすい子もいます。
ただし、目の前にタイマーを置くと今度はタイマーが気になって集中できない場合があるので、お子さんの様子を見ながら置く場所を考えるなどの工夫も必要です。
⑥途中で休憩を入れる
集中力はずっと続くものではありません。
特に低学年の場合、長時間座り続けること自体が負担になることがあります。
10~15分程度取り組んだら、一度立って水を飲む、少し体を動かすなど、短い休憩を入れてみましょう。
ただし、休憩のつもりでゲームや動画を始めてしまうと、勉強に戻るのが難しくなることがあります。
休憩では、軽く体を動かす程度にしておく方が戻りやすいでしょう。
⑦親が細かく口を出しすぎない
子どもが勉強していると、
「そこ違うよ」
「もっときれいに書いて」
「ちゃんと見て」
「早くして」
と、つい口を出したくなります。
しかし、すべてを細かく指摘されると、取り組むのが嫌になってしまったり、勉強そのものよりも「怒られないようにすること」に意識が向いてしまったりすることがあります。
もちろん、間違いを教えることは必要です。
ただ、まずは自分で考える時間を作ってあげることも大切です。
元小学校教員が教室で感じた「集中できる子」の特徴
ここからは、私が小学校で子どもたちを見てきて感じたことです。
集中できる子は「ずっと集中している」わけではない
クラスでは45分間ずっと完璧に集中している子ばかりではありません。
途中で周りを見たり、鉛筆を触ったりすることもあります。
それでも、先生の声かけや次の活動をきっかけに、また学習へ戻ることができます。
私はこの「一度それても、学習に戻れること」が重要だと感じています。
大切なのは「集中力がある子=45分間ずっと机に向かっている子」ではないということです。
家庭でも、「一度も集中を切らさないようにする」と考えすぎなくて大丈夫。
短い息抜きで、また学習に戻ることのできる習慣や、気持ちの入れ方などを練習していくことが必要です。
「勉強が速い子」と「集中できる子」は違う
問題を解くのが速い子が、必ずしも長時間集中できるとは限りません。
逆に、ゆっくりでも一つずつ丁寧に取り組める子もいます。
テストなどではスピードが必要な場合ももちろんありますが、まずは一つ一つの問題を丁寧に読んだり、ケアレスミスのないように答えたりすることが大切です。
「早く終わらせること」だけを目標にせず、子どもなりに取り組めているかにも目を向けてみましょう。
分からないときに質問できたり、一つの課題を最後まで終わらせようとする姿勢ができていたりすることが「学習への集中」につながります。
「何をすればいいか」が分かると集中しやすい
学校では、授業の最初に教師が、
「教科書の○ページを開きましょう」
「この問題をノートにやりましょう」
など、次にすることを具体的に伝えます。
家庭学習でも、この考え方を取り入れてみるとよいでしょう。
「勉強しなさい」ではなく、
「まず算数のプリントを1枚やろう」
と具体的に伝えるだけでも、子どもは動きやすくなります。
言い換えると、子ども自身「何をすべきか」が分かっていることが、集中につながります。
「集中できない=やる気がない」と決めつけない
子どもが勉強しないと、「やる気がない」「集中力がない」と考えてしまいがちです。
しかし、実際には、「問題が分からない」「疲れている」「何をすればいいのか分からない」「姿勢を保つのが大変」など、別の理由が隠れていることがあります。
まずは「なぜ集中できないのかな?」と考えてみることが、対策を見つける第一歩になります。
それでも勉強に集中できないときは?
家庭でいろいろ工夫しても、なかなか集中できないこともあります。
そんなときは、次のことも確認してみてください。
学習内容が子どもに合っているか
難しすぎたり、簡単すぎたりしないでしょうか。
疲れがたまっていないか
睡眠時間や習い事など、生活全体を見直してみることも大切です。
学習環境に問題がないか
机や椅子の高さ、照明、周囲の音なども確認してみましょう。
学校でも同じ様子なのか
家では集中できないけれど、学校では問題なく授業を受けられている子もいます。
反対に、学校でも家庭でも同じように困っている場合は、担任の先生に学校での様子を聞いてみるのも一つの方法です。
集中できない理由を一つに決めつけず、子どもの様子をいろいろな角度から見てみましょう。
小学生の勉強に関するよくある質問
小学生は何分くらい集中できますか?
集中できる時間には個人差があります。
「○年生なら○分」と一律に考えるよりも、子どもの様子を見ながら区切る方がよいでしょう。
まずは10分程度から始めて、無理なく続けられる時間を探してみるのもおすすめです。
ゲームは長時間できるのに、勉強はできません
ゲームは「次に何をすればいいか」が明確だったり、すぐに結果が分かったり、子ども自身が「やりたい」と感じていたりします。
そのため、ゲームに集中できるからといって、勉強にも同じように集中できるとは限りません。
「ゲームには集中できるのに」と叱るより、勉強にも「できた」「分かった」と感じられる工夫を取り入れてみましょう。
宿題をなかなか始めません。どうすればいい?
「宿題をやりなさい」と言うだけではなく、「まずランドセルから宿題を出そう」「算数と漢字、どっちからやる?」など、最初の行動を具体的にしてみましょう。
「勉強を始める」という大きな行動を、小さな行動に分けることがポイントです。
まとめ|集中できない原因を一つずつ探してみよう
小学生が家で勉強に集中できないとき、「集中力がない」「やる気がない」と決めつける必要はありません。
学校で子どもたちを見てきた経験からも、集中できないように見える行動の裏には、さまざまな理由があると感じています。
まずは、
- 勉強が難しすぎないか確認する
- やることを具体的にする
- 最初は短時間から始める
- 集中しやすい環境を作る
- 休憩を取り入れる
- 姿勢などにも目を向ける
- 親が口を出しすぎない
など、できそうなことから一つずつ試してみましょう。
「1時間集中させる」ことを目標にするよりも、「まず10分やってみる」「一度それても、もう一度勉強に戻る」ことを積み重ねる方が、家庭学習は続けやすくなります。
子どもの「集中できない」を、単純に「やる気がない」と片付けず、なぜなのかを一緒に探してみる。
それだけでも、家庭での勉強時間が少し変わってくるかもしれません。





